流暢な人に学ぶ!子供の英語リスニングをスピーキングにつなげるポイントとは?

「子供が習った英語を言えないんです、リスニングはできているみたいですがスピーキングはいつになったらできるのでしょうか?」という悩みの方がとても多いようです。実はちょっとしたコツを知ると親子で無理なく英語を話し始めることができるようになるのです。国内で自然なスピーキング力を身につけた方たちの例から、おうちでできる!子供の英語リスニングをスピーキングにつなげるステップをご紹介します。

流れ出る英語を身につけたNさんのお話

30年ほど前、私が大学生の頃出会ったNさんは留学経験もホームステイの経験もないのに流れるように英語を話せる女性でした。とても同じ歳とは思えないほどの英語力を身につけていたのです。ですが、話してみると彼女は世間で言う「ガリ勉」をしてきた訳ではなかったのです。秘訣を聞いてみると、「英語が好きだからとにかく真似して言ってみただけだよ~。」と笑うのです。当時は聞き流す教材もなかった頃です。彼女が一生懸命聞いて真似したのは、ラジオの英語、英語ドラマ、そして大好きな歌。MTVが始まった頃でしたから好きな歌手の歌もトークも真似していたと思います。

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彼女の凄さを実感したのは一緒にホームステイに行った時でした。大学2年生の夏休み、イギリスロンドン郊外へ3週間、3年生を終えた春休みにはアメリカ カリフォルニア州のオレンジカウンティへ3週間のホームステイにNさんと共に参加しました。聞いたままをそのまま繰り返して言うことで彼女の中には相当な英語の音とフレーズがたまっていたのでしょう、口を開くとその場面に応じた英語がスラスラと文章で言えるのです!文章で言いづらそうな時も、単語ではなく、必ずフレーズで英語が出てくるのです。受け入れてくれた学校の先生も「彼女はどうしてあんなに流暢に話せるんだ?」と驚くほどでした。

私はというと、ビートルズが好きで歌は丸ごと何十曲も歌えるのですが、ホームステイでは単語を繋げて作文するのにとても苦労をしました。会話というほどの会話にならずに愕然としました。ホームステイが終わる頃になっても伝えたいことが伝えられるようにはならなかったのです。

Nさんと私、当時は努力の差に違いないと思っていたのですが、実はこの大きな英語力の差は練習方法の差だったのです。

丸ごとの会話をそのまま真似るメリットとは?

どちらも英語が好きなのに、彼女と私に大きな差が生まれているのは2つの要因があるように思えます。

まず、Nさんのリスニング量が圧倒的に多いことです。特にドラマなどの会話です。やはりたくさんの音のインプットが話すための土台なのです。英語ニュースもよく聞いていたようです。

そしてもう一つは、文章でそのまま真似をする、ということです。彼女はよく独り言を言う人で、ちょっと面白い人だな、というのが第一印象でした。授業で出会った印象深い英文は、授業後も何度も楽しむように独り言で真似していたのです。今振り返るとそこが最も肝心なポイントだったのではないかと思います。面白い人だね~、と笑わずに私も一緒にやればよかったのに、と今なら思います。

丸ごとの会話を真似ることができるようになると、フレーズや文章がどんどんインプットされていきます。「英語の貯金」みたいなものですね。この英語の貯金には、どんな場所でどんな状況で使われる文章なのかという「シチュエーション情報」も含まれているのが特徴です。これが大きなパワーを発揮します。また、丸ごとの会話を真似ることができるようになれば、文章で英語を話すことに抵抗がなくなるようです。そして、シチュエーションに合うセリフが貯金の中から飛び出すという仕組みだと思われます。

子供とおうちでスピーキングを始めるポイントとは?

Nさんの例から、ママが子供とおうちでできるスピーキングのポイントを考えてみます。取り入れられる部分から是非実践なさってみてくださいね。

1.スピーキングさせたいならまずはリスニングから。十分な量の英語を繰り返し聞かせる。

スピーキングに関しては英語が自然に子供の口から出てくることを期待されていることでしょう。英語教室でお子さんが習っているのだとすれば、週に1~2回、英語を聞いて話すだけではリスニングもスピーキングも量が全く足りていません。先生が宿題として聞いたり真似して言うようにとCDなどの音声の宿題を出されているならば、是非それを真面目に取り組んでください。

リスニングの宿題があるならば、必ず聞きましょう!リスニングの量が足りていないとスピーキングの力は育ちません。英語教室の先生は、「CDを聞いてくれる生徒さんは英語の理解が良く、英語力が伸びます。」とおっしゃっています。しかし、何度ママにお願いしてもCDをかけてもらえないおうちもあるのだそうです。あなたのおうちは大丈夫でしょうか?英語教室の宿題を把握していますか?英語力を伸ばす可能性を無駄にしてはいませんか?早速宿題をチェックしてみましょう。

2.丸ごとの英文を聞く。

フレーズや文章でスピーキングしてほしいならば、大切なのは英語の文章を丸ごと聞くことです。1文ではなく、ある程度の物語や歌、インタビューなど、場面があるものを丸ごと聞くようにしてみてください。

3.どれくらい聞けばいいのか?

自然に英語が聞こえる環境にしておくのが良いので、できれば毎日30分でも1時間でも英語が聞こえるようにすると良いでしょう。リスニングだけなら何かをしながらでもできますので、なるべく毎日聞こえるようにしてみてください。リスニングが英語の土台のスタートです!ここは意識して継続しましょう。

4.リスニングにオススメするもの・避けたほうがいいもの

宿題が出ていない、あるいは、英語教室に通っていない場合は、英文の音声を探すことから始めましょう。

オススメするもの
・ある程度の長さのある物語
お子さんが好きな英語の歌
ナチュラルスピードのもの
日本語が入っていないもの
・日本語で観て内容をよく知っているDVD
お子さんが好きな分野のもの
ネイティブの子供向けのもの

避けたほうがいいもの
1文だけのもの(例えば、トラベル英会話のようなもの)
英語の後に日本語が聞こえるもの
ゆっくりした英語のもの
文法やフォニックスの解説が入っているもの
日本人向けの教材だと思われるもの

1文だけの音声は、シチュエーション情報がないため、聞いていても不快になるお子さんもいます。車で流すと「スイッチ切って!」と言われてしまう、というお話も聞いたことがあります。
お子さんが興味を持てる内容のものが最適ですね。
内容が面白いナチュラルスピードである・長さが10分以内で観やすい、という観点で探してみたサンプルはこちらです。

上記のことに気をつけて、CDやDVD、動画、iPodなどからお子さんのお気に入りを探してみてください。数多くは必要ありません。3つ程度を繰り返し聞いて耳が慣れるようにします。聞き飽きたら次を探すくらいでいいでしょう。

5.聞くことに慣れたら真似して声に出す

なるべく毎日、同じ音声を聞くようにします。だんだん耳が慣れてきて次に何が聞こえるか分かってきたりします。聞き流すだけで話せるようになるというの教材もありますが、英語の音が自然に口から飛び出るということは、英語だけの環境で1年ほど過ごさないと難しいとも言われています。日本で英語が自然に話せるようにしたいなら、ここで英語を真似するステップが必ず必要です。

6.自然に「真似する」

音読する、シャドウィングする、80回読む、など、様々な方法が提案されています。どれが正しくてどれが間違っているとは言えませんが、最も自然な方法をご紹介します。私たち人間が母国語を話すステップと同じですので全く無理がない方法だと言えるでしょう。

聞こえた英文の音を「ん~~~~」という風に音をなぞるようにハミングで真似して声を出します。
(赤ちゃんが「あ~あ~」と話し始めるのと似ていますね)
英文と同時に声を出し、同時に言い終わります。

次に、言える部分は単語で言ってみます。

例えば、先ほどの動画のバービーのセリフ
” I think you have to see a doctor.” 

これを最初から全て言おうとしなくても大丈夫です。
まず、ハミングのように「ん~~~~~」と真似します。
ハミングがそれらしくできたら、「ん~~~~だくた~」、
次に「ん~~しーあだくた~」というように、少しずつ言えるところ増やしていくのです。

7.似たシチュエーションで自然と飛び出す英語の貯金が完成

こうして丸ごと言えるようになった英文は、同じような場面に遭遇すれば自然と使える英文となって口から出てくるのです。英語の貯金としてインプットが完了するわけです。

この時、全ての意味が分からなくて大丈夫です。聞こえて言えてから初めて意味を知る、ということをお子さんも日本語でやっていましたよね?意味が分かるのは楽しいものです。その楽しみを奪わずに自分で見つける喜びもとっておいてあげてください。単語の一つ一つまで意味を理解出来た時、私の娘たちがそうであったように、キラキラした瞳でお話してくれることと思います。先回りして「○○はね、XXという意味なんだよ、などと決して言わないでくださいね。」

まとめ:
おうちの方の協力で完成するスピーキングの基礎力

このようなステップをふめば、子供がリスニングからスピーキングの能力をつけることは、可能です。ただし、おうちの方の協力なしには叶えられません
なぜなら、おうちで英語が聞こえる環境がなく、英語を話す人がいないからです。まず、英語の環境を作って、更に恥ずかしさをなくすことが不可欠です。

・CDやDVDをかけてあげること
・最初は一緒に楽しんで聞いて・観てあげること
・ハミングから真似するステップを一緒にやってみること

これを心がけてまずは1ヶ月、家族で英語のリスニングとスピーキングを練習してみませんか?英語を話すことの第一歩が踏み出せると続きは思いのほか簡単です!一緒に頑張ってみませんか?

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